慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)、いわゆる鼻の蓄膿症(ちくのうしょう)です。
実は1年前に手術をしました。その時の手術前後の経過をレポートします。
手術を考えているけど踏み切れないあなたに読んでもらいたいレポートです。
目次 Contents
慢性副鼻腔炎とは
副鼻腔とは、鼻の周囲にある空洞のことです。顔の骨(頭蓋骨)の中にあります。
上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞の4つにわけられます。
慢性副鼻腔炎(ちくのうしょう)は、その副鼻腔の中の粘膜が慢性的に炎症を起きることから始まります。
炎症が慢性化すると、中の粘膜が分厚くなってきて、鼻の穴への出口をふさぐことになってしまい、洞内で分泌される粘液や、うみなどが副鼻腔の中にたまってしまいます。
炎症が続くことによって、分厚くなった粘膜の一部が成長してぶよぶよとしたポリープができ、鼻の穴をふさいでしまったりします。これを鼻茸(はなたけ)といいます。
慢性副鼻腔炎の症状としては
◇鼻が詰まる
◇臭いがしない
◇ずっと粘り気のある色付きの鼻水が出続ける
◇鼻水が喉の方に流れる(後鼻漏)
◇頭が重い
など、様々な不快な症状が見られます。
一般的には、風邪をひいたときに急に炎症を起こし、細菌感染することから症状が始まります。
普通なら、風邪が治ると同時に、副鼻腔の炎症も消えていきますが、風邪を繰り返したり、細菌感染を繰り返したりすることにより、症状が慢性化していってしまいます。
風邪が治ったのに、鼻水が出続ける、粘っこく色が汚い鼻水が出る、のどの方にその鼻水が落ちていくなどの症状があれば、副鼻腔炎かもしれません。
このような症状が続く場合には、耳鼻咽喉科などのを受診して、検査をうけて適切な治療をしてもらう必要があります。
自分の場合(15年の罹患歴)
私の場合は、他の持病でステロイド剤を飲み続けていた時期に、繰り返し風邪をひいていました。
15年前のことです。
ステロイド剤を服用すると免疫力が下がるので、風邪をひきやすくなるのです。
風邪のあとも咳が続き、いつまでも黄色のどろどろした鼻水が続いていました。
耳鼻咽喉科を受診して、抗生剤と痰きりの薬を処方されました。
抗生剤を飲むと、色のついた鼻水は透明になりますが、完全に症状が無くなるということはありませんでした。
何度か受診して、2か月近く同じ薬を服用していましたが、そのうち、受診するのも面倒になり、病院には行かなくなりました。
胸がゼイゼイしたり(喘鳴)、鼻水がどろりとのどの方に落ちたり(後鼻漏)の不快な症状が続くけど、薬を飲んでもスッキリしないということで諦めていたという感じです。
そのうち、風邪をひくと目の奥の方が痛むことがあり、病院に行くと顔のレントゲンを撮られ、副鼻腔に膿が溜まっているのが分かりました。
その時も薬で症状を抑え、一番ひどい状態ではないけれど、不快症状は持続するという、
この繰り返しを15年ほど続けていました。
何度も耳鼻咽喉科を受診しても、薬での対処療法しかされないことに、半ばあきらめを感じていたというのが本音です。
2年ほど前から風邪の症状がなくても、常に目の奥がずきずきと痛み、発熱を繰り返すようになりました。
鼻水の色は黄色を通り越して緑色になっています。それも常に出ます。
もう耐えられなくなり、持病のほうでお世話になっている医師に相談して、手術を視野にいれ大きい病院を受診しました。
レントゲン検査では、黒っぽく映るべき副鼻腔が白くなり膿が溜まっているのが分かります。
でもいきなり手術とはいかず、しばらく薬を服用することになりました。
2か月ほどクラリスロマイシンというマクロライド系の抗生剤の一種を少量飲み続けてから、再びレントゲン検査を受けました。
2か月前に受けたレントゲン検査と比べても、膿が溜まっている状態は改善されず、結局手術をすることになりました。
人によっては、手術は絶対嫌だという人もいると思いますが、私はとにかく治したかったので喜んで手術をすることを決めました。
慢性副鼻腔炎の手術
現在の副鼻腔炎の手術はESS(内視鏡下副鼻腔手術)という術式で行われることが多いようです。
鼻の穴から内視鏡を挿入して、モニター画面を見ながら鼻腔と各副鼻腔との壁を取り除いたり、ポリープ(はなたけ)を切除したりして副鼻腔と鼻腔との通路を広げて、空気や分泌物の出入りをしやすくします。病的な粘膜を取り除き、膿を抜いてきれいにします。
侵襲が少なくて、患者に優しい手術法、とのことでした。
術後1週間ほどで、日常生活に復帰できるということでしたので、仕事を1週間休み、手術に臨みました。
手術当日
手術は全身麻酔でしたので、前日から入院でした。病院によっては局所麻酔で行うところもあるそうです。
手術時間は麻酔してから、2時間ほどと聞いていましたが、私の場合は病気を長く放置していたこともあり、4時間近くかかりました。
手術後 当日
手術後は、鼻の穴の中に綿(わた)がぎっちぎちに詰められているのです。それも両方の鼻の孔に。
鼻からの呼吸は一切できず、口呼吸だけになるため、のどの乾燥、唇の乾燥に悩まされました。
水分も、麻酔後しばらくは一口づつ飲むように言われますので、のどの乾きはピークです。
しかも、ごっくんと飲み込むと、耳の中で音が大音響で響き渡ります。
鼻が綿で詰まっているので「耳抜き」ができないからなのです。
口呼吸なのでいびきをかいてしまいます。4人部屋だったので、気になって眠りが浅くなりました。
手術の翌日は、朝ごはんで重湯が出ましたが、飲み込むのが苦痛でほとんど食べられません。
鼻の穴の綿を抜いてもらえたのは、手術から2日後のことです。
今回の手術で一番つらかったのは、鼻に綿を詰められていたこの2日間でした。
手術後2日目
鼻の綿を抜いてもらうと、嘘のように楽になりました。
でも鼻血はちょろちょろと出続けているので、綿球(綿を丸く丸めたもの)を鼻に詰めて入院生活は続きました。
そして、鼻洗浄が始まります。
膿を取り除き、突起物を取って空洞になった副鼻腔には、止血のため「溶ける綿」が詰められています。
そのわたを鼻洗浄で外に出すのです。
鼻洗浄、いわゆる鼻うがいと言われるものです。片方の鼻から水を吸い込み、反対の鼻から出すというもので、ずっと拒否反応を抱いていました。
鼻洗浄には専用の道具を使います。入院前に用意するように言われていたものです。
病院の売店でも売ってるけど、アマゾンなどの通販サイトで買う方が安いと聞いたので、アマゾンで購入しておきました。
看護師さんの見守る中、初めての鼻洗浄。
ポンプで右の鼻の孔に生理食塩水を送り入れます。
すると左の鼻から、水がぽたぽたと出てきます。
副鼻腔にたまった、血の塊や、綿みたいなものがドバっと出てきて、それはそれはスッキリするのです。
どうして、鼻の調子が悪いのに、今まで鼻洗浄をしなかったのか、とても悔やみました。
鼻うがい・鼻洗浄と聞くと拒否反応を示すのは分かります。私もそうだったので。
でも、これはしないと損。特に鼻炎や花粉症で鼻の症状がある人はぜひ試してほしいです。
※ただし、鼻づまりタイプの鼻炎の方は、耳に影響が出る場合もあるので注意が必要です。
耳鼻咽喉科の医師に相談してみてください。
手術後~退院まで
慢性副鼻腔炎手術後、3日目に熱が下がり、4日目で退院しました。
まだ、少量の鼻血は出ているので、鼻の穴に綿球は詰めてある状態。
退院時の注意点としては、
◇激しい運動は避ける
◇お風呂は湯船につからない
◇異常な量の鼻血が出たらすぐ病院へ
◇鼻の乾燥を防ぐ
◇しっかり鼻洗浄を続ける
この5つでした。
上記の2つは血流が良くなると出血しやすいので、というのが理由のようです。
退院してから2日間はゆっくりと過ごしました。やはり、入院中は眠れていなかったようでたっぷりと眠りました。
家事や犬の散歩などは、退院してからすぐでも難なくできます。
手術後6日後、仕事再開
鼻に綿球で栓をして、それをマスクで隠しての仕事再開でした。運動系の仕事だったので、体力的にも少し疲れました。
鼻洗浄用の器具を職場にも持っていき、ちょくちょく鼻うがいを実施しながらの勤務でした。
その1週間は、そうやって仕事をしていました。
これから、手術をしたいと思う方は、できるならば術後も10日間は休めるようにスケジュールを組むことをおすすめします。
術後1週間くらいで日常生活に復帰できると聞いていたのですが、ちょっと無理があるかも。
手術1週間後 東方神起のライブへ
実は、ちょうど手術1週間後に、東方神起のライブに行きました。
鼻の穴に綿を詰め、マスクで隠してというスタイルは変わらずに、です。
疲れないように、こまめに座り(毎回ほぼ立ちっぱなし)、踊らず叫ばず、おとなしくコンサートを楽しんできました。
でもスケジューリング間違えたな、と思ったのが本音。
手術後2週間
鼻に綿球をいれず、マスクもせずに仕事ができるようになりました。
移動や休憩中はマスクをして鼻の乾燥を防いでいました。
術後2週間目にまた東方神起のライブに行ってきました。
今度は、移動中だけマスクをして、コンサート中はマスクを外して楽しみました。
手術後20日
病院へ
術後の経過を見てもらうために、診察を受けました。
副鼻腔の中に詰められた溶ける綿はまだ全部外に出ていないようでした。
術後飲み続けていた抗生剤は続けて処方されました。
術後1か月
病院へ
経過チェックの診察です。
実は、まだ匂いが感じられず気になっていたので、医師に伝えたところ、
漢方薬「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」が1日3回を1か月分処方されました。
点鼻薬も追加です。
「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」を飲み始めてから、1週間ほどで微かに嗅覚が復活。その後徐々に正常に戻っていきました。
手術後2か月
病院へ
経過チェックの診察です。
この時には手術をしてくれた主治医が病院を移ってしまったので、違う医師に診てもらうことになりました。
この医師には、鼻洗浄の液の中にパルミコート吸入液という薬剤を入れて、鼻うがいを行うことを指示されました。
持病があるため、粘膜の戻りが通常の人より遅いということだそうです。
確かに鼻の中にはかさぶたがあり、カサカサする感覚がありました。
そして、鼻洗浄をする時は、頭を下に向けて(おじぎをするように)鼻の奥まで洗浄液が行きわたるように鼻うがいをするように言われました。
ですので、これ以降、入浴時に頭をかなり下げて鼻を洗っています。副鼻腔は目の奥の方までつながっているので、目の奥の方まで洗われる感覚があります。
手術後3か月
病院へ
経過チェックの診察です。
嗅覚は完全に戻っていました。
でも鼻の中のかさぶたはまだあります。
パルミコートと点鼻薬の処方のみ。
手術後4か月
病院へ
経過チェックの診察です。
パルミコートと点鼻薬の処方のみ。
この時までは月一度の受診です。
手術後半年
病院へ
経過チェックの診察です。
パルミコートと点鼻薬の処方のみ。
鼻の中のかさぶたはいつの間にか消えていました。
そして、これ以降は2か月ごとの受診。
手術後の診察の終了
最終的に手術11か月目の受診で、もう来なくていいとお墨付きをもらいました。
薬もなしです。鼻の違和感もなし。
特に言われませんでしたが、鼻洗浄は続けていこうと思います。
最後に
入院時に有ればよかったと思うもの
★大量の綿球
病院でも買えますが、高いので、アマゾンなどで、たくさん買っておけばよかったと思いました。
退院後も鼻の中の乾燥を防ぐために、ずっと使い続けます。
★マスク
入院の指示書にはありませんでしたが、鼻の孔に綿を詰めるので、隠すためのマスクは必需品です。
術後3か月は感染予防や、乾燥防止のため常にマスクが必要になります。
手術に適した季節とは
慢性副鼻腔炎の手術に適した季節はいつでしょう。
春は花粉が飛ぶアレルギーの季節です。
真冬だと、インフルエンザなどの感染症が心配です。
手術をして数か月はずっとマスクをしていました。
主に鼻の乾燥を防ぐためです。
となると、手術に適した季節とは、マスクをしても暑くない秋から冬にかけてがちょうどいいのかも、と経験的に感じています。
慢性副鼻腔炎の手術をして、よかった?
「手術して本当によかった」といいたいです。QOL(生活の質)が格段に上がりました。
趣味のピラティスをしている時、副鼻腔炎のせいで、うつぶせになったときの鼻の不快感、仰向けで寝たときの気道の不快感をずっと感じていましたが、術後は一切感じません。集中して動けます。
常に出ていた色付きの鼻水はもう出ません。鼻水がのどの方に下りていかないため、気管の調子も良いです。
術後3回ほど風邪をひきましたが、目の奥が痛んだりしなくなりました。
つらかったのは、手術直後から2日目の鼻の穴に綿をぎっしり詰められた2日間だけ。
これさえ乗り切れれば、快適な生活が待っています。
ただし、慢性副鼻腔炎の手術をすることによって、いったん症状はなくなりますが、繰り返すこともあるそうです。
手術後のケアが何よりも大事です。鼻洗浄をし続けるとか、感染しないように免疫力を上げるとか、食生活に気を使うなど。
一度手術したからなおさら、自分の身体は自分で守らなければ、と強く思います。
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