
2019年末に飛び込んできた「カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)日産自動車元会長の国外逃亡」
2020年1月には堂々とレバノンで会見をしました。
そもそも、ゴーン元会長は一体何の罪で起訴されていたのでしょう。
時系列で簡単にまとめました。
どうして裁判前に逃げて行ったのか。
保釈金はどうなる?
そして裁判はどうなるのでしょう。
ゴーン氏は全部で4回逮捕、起訴されました。
時系列で並べます。
目次 Contents
2018年11月19日 1回目の逮捕
金融商品取引法違反
有価証券報告書に自分の報酬を少なく記載したとして、逮捕されました。
2010年度から2014年度の5年間で、役員報酬計約50億円を過少記載した疑いです。
2014年度までの5年間の会長報酬が実際は約100億円だったのに、有価証券報告書には約50億円と少なく記載したということです。
ゴーン氏の言い分としては、高額報酬への批判を避けるため、実際の報酬よりも低く記載して、差額を退任後に受領することにしていた、とのこと。
まだ受け取っていない金額(先送り報酬)について、「まだ受け取っておらず、支払いは未確定」と主張して容疑を否認していました。
日産自動車側はゴーン氏の先送り報酬額を明記した文書を作り、ゴーン元会長が退任したのちに支払うという約束を記録していました。
東京地検特捜部はこの文書が、ゴーン氏への支払額が確定していると判断して、記載義務があったのに、記載していなかったという主張をしていました。
2018年12月10日 1回目の起訴
金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪(1回目の逮捕の件です)
2018年12月10日 2回目の逮捕
金融商品取引法違反(2018年3月期までの直近3年間の有価証券報告書の虚偽記載)
今度は約40億円の過少記載
有価証券報告書とは
金融商品取引法で規定されている、事業年度ごとに作成する企業内容の外部への開示資料である。
出典:ウィキペディア
有価証券報告書の虚偽記載は「粉飾決算」に適用されることが多いものです。
簡単に言うと、会社のもうけを多めに記載して、会社の経営状況を実態よりも良く見せることが目的とされます。
経営状態がいい会社には、金融機関もお金を貸してくれるし、株価も安定して経済的利益が得られますからね。
話はそれましたが、ゴーン氏の犯した違反というのは自分の収入を少なめに記載していたということ。
役員報酬を少なく記載するのは珍しいことです。
罰則は10年以下の懲役か1千万円以下の罰金、もしくはその両方と定められています。
※法人の場合は7億円以下の罰金
2018年12月20日 東京地裁が勾留延長を却下
海外メディアからも、長期の勾留に批判が集まり始めたからでしょうか。
このタイミングで裁判所が勾留延長を却下するのは異例なことらしいです。
2回目の逮捕による勾留が解かれていて、この時点では1回目の逮捕の「起訴による勾留」のみとなりました。
日本では、起訴後の勾留の時だけ「保釈」を求めることができます。
2018年12月21日 3回目の逮捕
会社法違反(特別背任)の疑い。
自分の資産管理会社の損失を日産自動車に付け替えた(押し付けた)ことに加え、多額の資金を第3者に流出させた疑い。
関係者によると、ゴーン元会長は資産管理会社を使って新生銀行とデリバティブ取引の一種、通貨取引に関するスワップ契約を結んでいた。2008年のリーマンショックに伴う急激な円高で巨額の評価損が生じ、銀行から担保不足を指摘されたという。
この担保不足へ対応として、2008年10月、スワップ契約を損失ごと日産に移転させたとされる。
当時の評価損は約18億5000万にのぼっていた。
出典:産経新聞
1つ目をすごーく簡単にいうと、ゴーン氏の資産管理会社が被った損額を、日産自動車に押し付けたということです。
2つ目の容疑は、この契約を移転することに関して、問題視をする動きがあったため、契約を資産管理会社に再移転しようとします。
担保不足を指摘されて、契約を日産に移転し、また元に戻したので、担保不足は変わりません。
再移転にする時に信用保証に協力してくれた会社経営者の利益を図るために、日産子会社から会社計傾斜側に約1470万アメリカドル(現在の約16億円)を流出させた疑い、これが二つ目の逮捕理由です。
この逮捕により、また勾留が始まります。
2019年1月8日 ゴーン氏勾留理由開示に出廷
自ら意見陳述し会社法違反について潔白を主張。
2019年1月9日
東京地裁はゴーン元会長の勾留取り消し請求を却下
2019年1月11日 2回目の逮捕の追起訴
金融商品取引法違反の罪で追起訴。(※2回目の逮捕)
2019年1月11日 3回目の逮捕の追起訴
会社法違反(特別背任)の罪で追起訴。(※3回目の逮捕)
いままで3回の逮捕があり、そのすべてで起訴されました。
そして、ゴーン元会長側は起訴後の保釈を請求します。
2019年1月15日
東京地裁はゴーン元会長の保釈請求を却下。
2019年3月5日
東京地裁が保釈を決定。
この時の保釈保証金は10億円です。
保釈保証金とは
身柄を釈放する代わりに、公判への出頭等を確保するために預けさせる金銭のこと。
出典:ウィキペディア
2019年3月6日 東京拘置所から保釈
作業着のような服装で出てくるゴーン氏の映像が話題になりました。
2019年4月3日 4回目の逮捕
会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕。
日産自動車の資金をオマーンの知人の会社に不正支出した疑い。
せっかく保釈されたのに、再び身柄を勾留されてしまいます。
2019年4月25日 再保釈
今度の保釈保証金は5億円でした。
2019年12月31日 ゴーン元会長出国
海外渡航を禁止した保釈条件に反して、ゴーン元会長はレバノンへ逃げてしまいました。
日本での出国記録はなく、無断出国のようです。
日本とレバノンとの間に、犯罪人の引き渡し条約がないので、事実上ゴーン氏に日本側は手出しができない模様。
「人質司法」とは
今回の逮捕では「人質司法」という言葉がたくさん聞かれました。
日本の法律では、逮捕時の72時間(3日)とその後の20日、計23日間しか、同一容疑での取り調べは許されていません。
しかし、被疑者が嫌疑を否認する場合、勾留を延長して身柄拘束を長期化させて、取り調べることが例外として運用されています。
取り調べを長期化して、自白や警察検察の意に沿った供述をさせようとしているという批判が「人質司法」と言われているものです。
冤罪を産むきっかけになるとも言われています。
起訴された後だけ「保釈」が認められるので、ゴーン元会長も、保釈されたと思ったら、また逮捕され、勾留が始まりました。
海外のメディアではかなり問題視されていたようです。
裁判前に逃げたら、どうなる?
ゴーン元会長が、日本から逃げていなければ、2020年4月には公判が始まっていたことでしょう。
この裁判は、検察側が不利とみられていたようです。
最初の容疑の、有価証券報告書の虚偽記載に関しても、重罪になるようなものではないのです。
どうしてもゴーン元会長の自白を取るために、何としてももう一度勾留しようと、検察側が動くかもしれない。
どうしても有罪に持ち込むため、検察側に何をされるかわからない、などの不安のため、
等々、色々な意見があるようですが、本当のところはゴーン氏のみが知るところ。
そして、ゴーン元会長が逃げたことで裁判はできません。
この状況に「負け」が無くなった検察側もほっとしている、などという意見もあるようです。
だとしても、トップクラスの経営者のゴーン元会長には、正々堂々と裁判を受けて欲しかったものです。
批判を受けている「人質司法」に関しても、見直すきっかけになったのではないでしょうか。
没収された保釈金の行方は?
ゴーン元会長は保釈金を計15億円納めています。
保釈中に逃亡したら、これは当然没収されてしまいますが、どうなるのでしょう。
没収「された保釈保証金は、国庫の雑収入(勘定科目は懲罰及び没収金)として歳入扱いになります。一般会計に組み込まれるはず
2014年5月27日時点の情報出典 弁護士ドットコム
カルロス・ゴーンとは
Carlos Ghosn
1954年3月9日生まれ
ブラジル出身の実業家
両親はレバノン人
略
1999年日産自動車の最高執行責任者(COO)に就任。
後に、日産自動車の社長兼最高経営責任者(CEO)、ルノーの取締役会長兼CEO、ルノー・日産アライアンスの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。
当時、経営と財政危機に瀕していた日産自動車を、短期間で再建した。
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